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伝統の力

2004年04月16日

イギリスにシェルドレイク博士という生化学者がいます。その人によると自然界には電気や磁気や重力以外の、未知の力の場が存在するといいます。彼はそれを「形態形成場」あるいは「形の場」と呼んでいます。

自然界に、ある形や活動がひとたび放たれると、その形や活動パターンが宇宙に刻印され、この形の場の共鳴作用によって同じような形や活動が起こりやすくなるというのです。

 私はこれをわかりやすくこのように考えています。例えば高校野球ではPL学園や平安高校、作新学院など、高校サーカーでは国見高校や鹿児島実業、四日市中央工業など、いわゆる伝統校というものがあります。そういった高校では確かに全国から優秀なプレイヤーをスカウトして強力な人材を集めているから強いということもあるのですが、いざというときには何かそれ以上の伝統の重みというのかプラスアルファの不思議な力が働いているのではないかと思わせることがあります。その伝統という場の中に日常いるだけで、その不思議な力を与えられて通常では考えられないような能力を発揮するようになるのではないか。これこそ形の場の作用なのではないかと思ったりするのです。

 これに似た例は、私自身も体験したことがあります。自慢をするわけでは決してないのですが、私が通った高校は伝統的な公立の受験校でした。その学校に入るとみんなあたりまえのように一流の国立大学を目指します。特に予備校のように受験対策一辺倒の授業内容ではないのですが、受験を最大目標に、毎日の予習復習を着実にこなしていくだけで大半が一流大学以上の学校に自然と入れてしまうのです。

 
 また社会に出ても実感するのは、例えばテレビやビデオ、コンピュータなどの製造において、どんどん技術力がアップしていくわけですが、そういうものを開発する技術者がよくそんなに次から次へと新しい高度なものを開発していけるものだといつも思うのです。

開発する時の苦労はプロジェクトXなどでよくやっているように、なるほどたいへんな苦労をされたのだなと感心しますが、一旦開発されると、どこのメーカーでもすぐにその技術があたりまえになって技術力はそこがベースになってしまいます。どうしてそんなに早く、一定の技術をみんながマスターしてしまえるのでしょうか。そういったメーカーの開発室などの場には特殊な磁場でも渦巻いているのではないかと驚嘆せざるをえません。

 また、さらにシェルドレイクの形態形成場の働きではないかと思われるもので、常識では全く理解できない有名な例を紹介します。

 化粧品や軟膏の薬などによく使われているグリセリンという物質がありますが、このグリセリンは昔は液体状でしかこの世に存在しませんでした。そのため、樽に入れて苦労して輸送していました。

ところがある時、イギリスの貨物船に積まれていた樽詰めのグリセリンが、一本まるごと結晶しているのが発見されたのです。この知らせを聞いてあちこちの研究所から「グリセリンの種結晶を分けてくれ」という申し込みが殺到したのですが、不思議なことはここから起こりました。

この日を境に、世界中の工場や研究所で、種結晶を入れてもいないのに一斉にグリセリンが結晶し始めたのです。製法も保存方法も変わったわけではなかったので、これにはあらゆる分野の化学者たちが首をひねりました。服や皮膚に微量の種結晶がくっついて入り込んだのではないか、という説も出ましたが、種結晶が入らないようどれだけ気を使っても結果は同じでした。今ではグリセリンは17度に冷やすだけで、どこで誰がやっても簡単に結晶化します。

また、経営コンサルタントで有名な船井幸雄さんも、このシェルドレイクの仮説を使って、「百匹目の猿現象」を説明しています。この百匹目の猿というのは実際にあった大変面白い話です。

 宮崎県の幸島という島で猿がイモを食べていましたが、掘ったあとのイモはいつも泥だらけなので食べるのに苦労していました。ある時一匹の頭の良い猿が餌のイモを水で洗って食べればおいしく食べられることに気がつきました。それ以後そのような猿が少しずつ増えていきましたが、そのうち群れ全体の猿が一挙に同じ行動をとるようになりました。

そればかりではなく、幸島の猿とは接触がない、遠く海を隔てて離れた別の島の猿たちも同じ行動を始めたといいます。
シェルドレイクの仮説によれば、イモ洗いをする猿がある一定上の規模に達し、形の場が十分に強くなったとき、猿全体がそれに共鳴して、同時に同じ行動を開始するようになったと考える事ができるのです。
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